地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー


「うるせえ。黙れ杏樹」


叫んだ瞬間に、会長から八岐大蛇の睨みを喰らう。

お、恐ろしい~!

でも、この状況を信じられないから……。


「陸、ちょっと屈んで?」


隣にいるヤツに、手でクイクイと目線を合わせてくれるように頼んだ。


「は?」


意味がわからん、という顔をしつつも、ちゃんと屈んでくれる陸。


そして。

――ギュッ


「いってっ……! 杏!?」


ヤツの頬を力いっぱい横に引っ張った。


「あ、現実なんだね」


夢ではないと。

茅那ちゃんは、幻ではないと確認して、陸の頬を解放する。


「なにすんだ、このバカ杏!」

「夢かどうか調べたの」

「自分をつねれよ!」

「……大学での復讐も兼ねてよ」


ギロリと陸に睨まれるけど、これは、ヤツが悪いんだから。

あたしの、大学での恥ずかしさに比べたら……こんな痛みかわいいもんよ。

フンッと顔を陸から反らして、会長に話しかけた。


「会長の女嫌い……直ったんですか?」

「あ?」


さっきより、さらに睨まれる。

こ、怖いっ!

思わず、一歩後ろに下がった。


「勝手に、コイツが来るだけだ。来んなって言ってんのに」


そう言って、茅那ちゃんを睨みつける会長。

いや、八岐大蛇。

だから、高校の時から言ってるじゃないですか。

そんな睨みでは、眉間のシワが戻らなくなるって!


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