地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
穏やかな気分で、彼女の乗るブランコをしばらく押していたら。


「あーちゃん、トイレ行きたい……」


突然、繭ちゃんが言いだす。


「あらあら、トイレね」


ブランコを止めて彼女を下ろし、公園内にある公衆トイレに連れて行った。





「あーちゃんはここで待ってて?」


トイレの入り口でそう言われ、あたしは外で待つことにする。


大丈夫かなって思うけど、彼女は一応妖怪。

普通の小さな女の子ではない。



そして、繭ちゃんが出てくるのを待ってみることにしたんだけど……。











3分経過しても、出てこない。

まだかかるのかな?



そう思って、聞こうと女子トイレの中に足を踏み入れた。



入り口は、ドアとかじゃなく……中までは通路が曲がりくねっていて見えないようになっていた。


公衆トイレだから、お店とかよりは汚いけど……それなりに掃除はしてある。


「繭ちゃーん?」


名前を呼んで、どの個室なのかを確かめようとした瞬間。



え……?

目の前の光景に、足を止めた。



「ま……ゆ……ちゃん?」




だって……彼女が……床にうつ伏せで倒れていたから。
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