地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
――樹里side――

――コトコトコト……

久しぶりに早く帰れたから、夕飯の準備中。


「明日から夏休みか……」


娘の杏樹は、今日試験があり、明日から長い夏休みに入る。


午後からは、この前ケガしたお友達が退院するからと言って、病院に行くと聞いていた。



でも、今は……午後7時過ぎ。


最近は、病院に泊まり気味だった繭ちゃんも、連れて帰ってくると言っていたから……そんなに遅く帰って来るとは思わない。


「陸くんのところで遊んでいるのかしら?」


フフット笑みをこぼして、サラダ用の野菜を切ろうとした瞬間。





――ガチャ!


「ママ―――!」


玄関の方から、繭ちゃんの叫び声が聞こえてきた。


あら?


包丁をまな板に置き、手を洗い、キッチンから出て、玄関へと続く廊下に向かう。



その間も。


「ママ――――!」


繭ちゃんの私を呼ぶ声は、止まらない。


「はーい」


パタパタとスリッパを引っかけ、玄関へと急いだ。


玄関まで来て、驚く。



そこには、杏樹の姿はなく。


繭ちゃん、ひとりしかいなかった。


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