地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
――陸side――

杏がいなくなって……早くも朝方5時。


何かあったというわけでもないので、警察に捜索願を届けることも出来ず。


親父さんたちの届けたとしても、動いてくれることはないだろうとの判断から。



「零ちゃんたちは、ちょっと休んだら?」


お袋さんが、ちょっと疲れた様子で提案する。


「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」


朝比奈がニコッと笑いかけて、断った。



全員が、リビングにて……一睡もしていない。



俺も、ケータイを傍に置いて……ラブレターを読み返す。



杏の荷物は、すべてなくなっていて……ケータイもなかった。


彼女のケータイに、この場にいる全員がかけてみるが、電源が切られている。


それでも諦めずに、杏のケータイに電話をかけていた。


すると突然。


「ねぇ、滝本くん。えっと……守護の呪だっけ? これは、杏樹も持っているの?」


安斎が、俺に向かって問いかけてくる。


守護の呪?


そう言われて……自分が身に着けているネックレスを見た。

杏が俺たちが身に着けているアクセで作ってくれた強力なお守り。


手放さない限りは、禍に巻き込まれることはないと聞いている。

だが、杏は。


「アイツは……」


安斎に俺が答えようとした時。



「持っておらんよ。あの子は、術者じゃから」



じいちゃんが先に返した。
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