地味子の秘密 其の五 VS闇黒のストーカー
あたしが……陸の気持ちを考えてないって?

そんなんじゃ……。


「杏樹は、彼が他の女達から言い寄られてるのを見て……何とも思わないの? 平気なの?」


平気なわけないよ。

でも……。


「イヤに決まってる。けど、アイツに女の子達が寄って来ないようにするのは、ムリなことでしょ?」


柚莉に向かって、そう返した。


陸のずば抜けた容姿ならば、周りが放っておかない。

本性は俺様だけど、今でも王子様のように猫被っているし……。


「そんなこと百も承知よ。でも、高校の時から付き合ってるんだから……覚悟の上でしょ」

「……」


そうだよね……。

アイツと一緒にいたいなら、ある程度は女同士の争いに巻き込まれるのは必須。

イヤだからって……逃げてちゃダメなんだよね。


ハァ……と息を吐いて、あたしも紅茶を飲んだ。
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