TITOSE
百合子は、赤い櫛を見つめてそれから歩き出した。

「…おばあちゃん」

そう呟いてから、百合子は着物の袖をなびかせて走った。

着いたのは、海。

「おばあちゃんは、この広い海を渡って来たんだね」

そう呟いた時だった。

向こうに、誰かが打ち上げられて倒れていた。

「あっ!!ちょ、大丈夫ですかっ」

その人は、長めの髪を後ろで束ねた男の人。

(うわぁ、まるで千歳さんみたい)

百合子はそんなことを思ったが、こうはしておれず男を背負って帰った。

「百合子っ!?」

老母は驚いてその様子を見た。

「あのね、この人…陸に打ち上げられてたの。お腹空いてるみたい」

そう言うと、老母は急いでご飯を作り始めた。
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