バケバケ




「よかった……」




ほっとした。


一気に気が抜けた。


俺も一緒に眠ってしまいそうなくらいだ。




「……シイ?」




洋子が目を覚ましたみたいだ。


「大丈夫か?」


「あっ!」


洋子ははっとしたように飛び起きた。


「シイ!これ……」


洋子は俺の汚れた服を指差した。


「血………」


「あぁ、これは…」


「ごめん!!」


俺が何も言わない内に、洋子は地面に手をついて深く頭を下げた。


「ごめんね…シイ、私が……」


「洋子…顔あげろよ。」


洋子は顔をあげたが目は伏せたままで、唇が震えていた。




あぁ…まただ。


俺はまた、洋子にこんな顔させて…


洋子の方が俺の何倍もつらかったはずなのに。


洋子は…自分に勝ったのに…




俺は洋子の頭を自分の胸に押し付けた。


「……シイ?」


「いいよ、もう。こんな傷治った。」


「でも……」


「俺、バケバケだぞ?人間の体の造りと一緒にするなよ。」




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