バケバケ



シイも洋子も分かってないんじゃないかな…?


あの二人がどういう奴らなのか。


「あとさぁ、」


「……なんだ。」


「燕って洋子に惚れちゃったでしょ?」


―ドスッ


ソファーの背もたれの向こうから盛大に荷物をぶちまける音がした。


どうやら図星らしい。


「…………………な…何でそうなる。」


珍しー。


燕が動揺してる。


「だって洋子と話す時だけなんか態度違った気がするし。」


「……そんなはずはない。」


「それに双子のバケバケ相手にしてる時も洋子ばかり気にしてなかった?昔は僕の命令でしか動かなかったのに洋子が危険になったら真っ先に壁出したし。」


「……気のせいだ。」


「まぁ、かわいいもんね。洋子。」


「…………。」


僕は仰向けになった。


ソファーの背もたれから燕の頭が半分見えている。


「燕!」


燕はぶちまけた荷物を片付ける手を止めて顔を上げた。


長い前髪のせいで表情は見えなかったけど、なんとなく顔が赤いのがわかる。



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