バケバケ


風呂屋じゃない…


じゃあどこに?






「ねぇ、どこに行くの?」






ギンは立ち止まった。


そしてゆっくり振り返り、私の顔を見た。


ギンの目には月明かりに照らされた涙が光っていた。


「…ギン?」


「ごめん、洋子。」


ギンは近くにあった竹の根本にしゃがむ。


ギンが立ち上がる。


黒い箱を両手で持って…


「…ギン…それ…」


「ごめんね、……ごめんね洋子!!」


悲鳴に似た叫びと共にギンが箱の蓋を開ける。


「!」


箱に吸い込まれる…


どうして…ギンがバケバコを?


「ごめん……でも!…全てが終わったら解放して貰えるから!!」







地面から足が離れる。


視界が黒く染まっていく。





―ごめんね…―






ギンの言葉が私の耳元で反響していた。






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