バケバケ
「行ってらっしゃい。」
−バタン
玄関のトビラが閉まり、洋子の姿は見えなくなった。
「眠い…」
今日わかったけど俺朝弱いわ。
まぶたが重たい。
顔…洗ってくるか。
洗面所で顔を洗い、メガネをかける。
鏡に自分の姿が映る。
黒い髪…同じ色の目…鼻…口…
俺、やっぱり人間なんだな。
正確にはバケバケだけど。
いまさらだけど改めて見ると不思議でしょうがない。
頬に昨日の傷が残ってる。
指でなぞると少し痛かった。
「さてと…」
これからどうしようか。
洋子には金髪の男を捜すとか言ったけど、どこを捜せばいいのかさっぱり見当がつかない。
とりあえず…奈古美市に行ってみるか。