バケバケ




こいつとはもう関わりたくないな。







「ボクはもう神社に帰る。」


時雨に背を向ける。


力を使いすぎた。


早く神社に帰ってボクは寝る。


「それは残念です。僕は神様ともう少し話をしていたかったんですけどね。」


「ボクはもうお前とは話したくない。」


振り返ることもせず、そう言ってやった。


だから時雨の表情は見えない。


だが、笑っているような気がした。






ボクは歩いて神社に戻ることにした。


空から帰るほどの力が残されていなかったからだ。


たまには悪くない。


歩くというものも。






背後から時雨の足音が聞こえる。


だんだん小さくなっていく。


彼はボクとは反対方向に歩き出したみたいだ。






災厄の足音…


それはやがて聞こえなくなった。


だが、すぐにまた聞こえてくるのだろう。


彼は春には動き出す。






< 463 / 469 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop