小さい頃に習うこと、大きくなってわかること


信じがたい事実だった。


お台場に行く時、あれだけ気をつけていたアイチが、スピードの出し過ぎなんてどうしても信じられない。


「愛生が事故った道ってさ、すげぇスピード出したくなる道なんだよ。だから愛生もそうだったんだと思う」


アイチが事故を起こした道を通ったことがあるシーやんは、そう彼女の味方をする。


その後であたしに優しい笑顔を向けた。


「なぁ、もうやめようぜ?あいつがどこ行こうとしてたのかとか、考えても考えても答えなんて出ねぇよ」


シーやんはそう言うと、さらに続けた。


「あいつ、真海子にだけはカッコ悪いとこ、見せんの嫌いだったからな。真海子の前だけでは、最期までカッコいいアイチでいさせてやれよ」


「それから」


チェリーはそう言うと、真剣な声で続けた。


「傷の心配はないから、会いに行ってあげなよ?」


チェリーのその言葉に、すぐには答えられない自分がいた。


迷っていると、シーやんは言った。


「無理に会いに行けとは言わないよ。でも、もう2度と会えなくなるんだぜ?」


もう2度と会えなくなる。


それは痛いくらいわかっていた。


わかっていたけれど、わかりたくない。



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