花咲文具店の秘密
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「あれ?いない…」




店先まで出てみたが、サエの言うアルバイト希望者は見あたらなかった。




「本当に居たのか?」




そう尋ねると、「居ましたよ!さっきまでここに!」とサエは声を上げる。




「高校生っぽい感じの女の子で、張り紙を眺めてたんです。だから声かけたら、お店に興味があるって言うから」



「あのなぁサエちゃん。彼女からアルバイト希望って言ったわけじゃないんだろ?」



「言ってはいないですケド、でもかなーり良い筋いってましたよ」





店先で張り紙を眺めていた少女を、半ば強引に店内へ引きずり込んだという。




いや…



完璧な勧誘じゃないか、これ。



気持ちは分かるけどね



流石に無理やりはマズいんじゃないの




ぷりぷりと怒りながら店へ戻っていくサエは、「あ、そうだ」と振り返った。




「5時半なんで、もう上がりますね」



「おう、お疲れ様。帰り道は気をつけろよ」



「はーい」




鼻歌を歌いながら店の奥、ロッカールームへ消えていく姿に、やれやれと頭をふる。




「そんなに辞めたいのかねぇ」




ふと視線を感じて頭を上げた。


店のすぐ脇の道から、1人の少女がこちらをじっと眺めていた。




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