芽衣の恋愛論





芽衣といると照れ臭くて上手く話せなくなる。




考えてると芽衣が入って来た。

彼女は今日も涼しげだ。
肩までの髪を軽くなびかせながら、こちらに近づいてくる。



ちょっとだけ緊張が走る。



「いらっしゃい。」


俺はなるべく明るく言った。

芽衣は軽く頭を下げた。


「由宇ならいないよ。今日打ち合わせの日。」




事務所に入ろうとした芽衣に言うと芽衣は残念そうな顔になった。


「そっか〜。」




「何の話?俺が聞こうか?」



思いきって言ってみた。



芽衣はちょっと考えている様子。



そして自分の中で納得したみたい。

「あたし、将吾君のこと好きじゃないって由宇君に報告したんだけど。」




レジのカウンター越しに芽衣は話し出した。


手首が細いし白い。

首には見慣れぬネックレスをしていた。


「由宇君がそのまま将吾君に気持ち伝えたら?って言うからそうしようと思ったんだけど。やめたから。」



最初はいい話に聞こえてたけど最後の言葉を聞いて奈落の底に突き落とされた気分になった。


「何で?」


俺の心の叫びだった。



「焦って別れることないかな〜って思って。これから好きになるかもしれないし。」


芽衣はネックレスを右手でいじりながら言い訳しているようだ。


またもや、奈落の底にいる俺に芽衣はパンチしてきた感じ。

俺は立ち上がって、感情的に大きな声で叫ぶように言った。


「時間の無駄だよ。好きにならないよ!!芽衣が将吾さんのこと好きになるならもうとっくになってるよ!!」





俺は真面目に答えた。




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