三角形(仮)
結局俺は、その日ビール1缶を空けただけでマサの家を去った。
俺は本当に意地で彼女が好きだったのか?
彼女の我が儘に文句も言わず付き合ってたのは、単に彼女が好きだからではなく、彼女を他に取られたくなくない俺の意地、プライドだったのか?
そもそも俺は、彼女の何がそんなに好きだったのか?
何だかもう全てが分からなくなる。
最近では俺も彼女もお互いの気持ちが薄れつつあることは知ってる。
正直、俺は今日彼女といて楽しかったのか、分からない。
何故急に見た目が変わったのか、誰に告白され、ちゃんと断ったのかも聞けない。
…俺をどう想っているのか聞けない。
彼女を傷付けないように、泣かせないように、俺を嫌わないように……。
俺はいつも彼女の顔色を伺い、行動してきた。
付き合い始めた頃の―――、
バカな事言って笑い合った事、映画を見て泣いた事、一緒に海行ったり、バーベキューしたり、花火大会に行ったり、イルミネーションを見に行ったり、初詣に行ったり、お互いベロベロになるまで飲んだり、一緒のベットで夜を明かしたり、お揃いのリングを買いに行ったり、学祭のベストカップルに選ばれて全校生徒が見ている中でキスをして恥ずかしがったり…。
―――新鮮な気持ちを思い出せない。
俺は彼女と過ごす日々に、何を想い感じていたのか。
俺は、何よりも誰よりも大切にしてきたつもりだった。
。