三角形(仮)



自己紹介も終わり、次々と運ばれてくる食べ物を食しながら、各々会話を始める。





「すぐるくんって、ほんとに彼女いないの?普通にモテそうなんですけど!」


黒髪美人の真帆が俺に問う。


「ちょっと前に別れたんだよね」


俺は苦笑いでごまかす。


「そうそう、こいつ弄ばれたんだよ」

「昔恋する乙女を傷付けた報いってやつ」


マサと啓吾が言う。
散々な言われようだ。



「えー勿体ない。すぐるくんを弄ぶ女の子なんているんだね」


今度は明日香が言う。


「お姉さんが慰めてあげるよー」


早くも酔い始めた真帆が俺を手招きする。


「は?何?!真帆ちゃんすぐる狙いかよー」


啓吾がガッカリしながら言う。


「ちょっと真帆酔ってるでしょー」


明日香が隣の真帆に言う。


「真帆、すぐるくんみたいな人タイプらしいよ」


チナツがリアを見ながら言う。


リアは冷静を装っているが、顔が引きつっている様に見える。


「へ、へぇー。良かったね、すぐるくんとやら。真帆美人だから…」

「…じゃ、慰めて貰いに行くかな」

リアが素直じゃないなら、俺もとことんそれに付き合う形をとる。





真帆と明日香の間に移動する。
チナツは、俺が元居た場所――啓吾とマサの間に座る。



「ずりー!すぐるだけハーレムじゃん。」


啓吾が羨ましそうに言う。
啓吾は根っからの女好きだ。
どんな女でも自分に好意を抱いて欲しがるのだ。


「リアこっち来なよ」


チナツがリアを呼び、リアがチナツと啓吾の間、俺の正面に座る。


リアは俺をチラチラ見るのが横目で分かる。
だが、俺は知らないフリをする。





素直じゃないリアが悪いから。




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