水色のエプロン
〝それはアズが耳を傾けて無かっただけ〟
 突然フレディーの言葉が私の心に強く圧し掛かった。
「ネオに早くあいたい。ごめんねって言わなくっちゃ。」
 自転車のペダルをこぐ足に力が入った。
するとその時、バッグの中でケータイの着信音がなった。私は自転車を止め、電話を手にした。着信の相手はお母さんからだった。
「もしもし、お母さん?どおしたの?」
 また、牛乳を買ってきてとか、明日の朝ごはんの食パンを買ってきてとか、どうせそんな理由の電話だと私は思った。
急いで家に帰りたいのに。そんなの明日だっていいのに。
朝ごはんなんて、ご飯でもシリアルでも、今日のご飯の残り物でも何だっていい。

だけどそうじゃなかった。

「なに?私今急いでるの。」
すると母は私に言った。
「大変よ。ネオが突然倒れて動かなくなったの。早く帰ってきて。」
 私は言葉を失った。
もしかして、心臓の発作が?

 大急ぎで私は家に向かった。
「お願い、大事には至らないで。」
 心の中でそう何度も叫んだ。自転車を止め、玄関にバックを放り投げ、私は自分の部屋の扉を開けた。するとそこにはクッションの上に横たわる、いつもより小さなネオの姿があった。
「急に咳き込んだと思ったら。倒れてこんで・・・。今はいくらかよくなったみたいだけど・・・。」
 隣でネオに付き添っていたお母さんがそう言った。
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