君ノ声



密着する体。


絡まる脚。


息がかかるほど近い距離。



ここで俺が少しでも首を上げれば、キスなんて簡単にできてしまう、そんな距離。



いつものパターン。



イヤラシイ手で俺の頬を上下させる女はそれを知っていてこうする。


決して自分からは行動しないで、俺の行動を待つ。


だから俺はいつもその応答に答えてやっている。




でもどうしてだろう。



小さく小さく息を吐き出して、大きく息を吸い込んだ。



「…恭介?」



横を向いたままでいる俺に降りかかる声。


不安そうな、そして不思議そうな女のトーンの低い声。



一向に向き合おうとしない俺をどう思ったのだろうか?



女はゆっくりと密着していた体を起き上がらせ、再び俺の上に跨った。





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