神風

「由那、ちょっと来いっ!」


「ぎゃっ!」


いきなり前に現れたのはソイツだった。


ドキッ――


胸が高鳴る。


飛鳥が変なこと言うから…


パシッ――


彼があたしの手をつかんで走る。


「ちょっとまだ走れないんだって。」


彼は振り向きもせずそのまま走り続ける。


でも感じるのは痛さではなく熱。


足ではなくつかまれた手首からの熱。


温もりとでも言っておこうか。
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