かけがえのないもの
「そこまで、お兄ちゃんのこと、思っててくれたんだね…死んでしまっても…ずっと…何か…突拍子もない話だったけど…今なら信じられるよ…」

一生分の愛情を込めて、隼人は瑠奈を抱きしめた。

こうやってあげられることも、もう出来なくなる。

だから、これが最後だから、出来るだけ長く、強く…

「お兄ちゃん…力強すぎだよ…はは…」

瑠奈は隼人の腕の中でもがくふりをして、胸に顔をこすりつけていた。

「私ね、今すごく幸せだよ。死んじゃって…もうお兄ちゃんにも会えないって思ってたのに、こうやってチャンスもらって、恩返し出来たんだもん…」
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