かけがえのないもの
「それにしても…ほんとに今日どうしちゃったの?」

隼人は気になっていたことを意を決して聞いてみた。

すると瑠奈は、いたずらっぽく目を輝かせて言った。

「まだ教えなーい。」

「何だよそれ。」

瑠奈は部屋に掛けられた時計に目をやった。

「もう少し。もう少しで分かるよ。」

どこか寂しげな笑顔で瑠奈は言った。

「もう少し…」

隼人は、何故か不安になった。

どこがどうと言うわけでもなく、

ただ、

とてつもなく嫌な予感がしていた。
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