傷跡
『だから中学からは散々だった。友達って呼べるやつなんていなかった。うわべだけで遊ぶ奴らはいたけど…心底付き合いできるやつなんか誰一人いなかったから。信じて裏切られるぐらいなら…信じねーほうがマシだって。結局人間みんな自分のことしか考えてないんだよ。自分だけが大事なんだ。だから俺は自分以外は信じないって心に決めたんだ』
『そう…なんだ…』
『でも…親父のことがずっと頭から離れなかった。俺のことを唯一大切に考えてくれてたのは親父だけだったから。だから…悔しくてさ。もう何もできねーのが……もう……何も言うことができねーのが…』
そう言うと、光輝は声を押し殺すように泣いていた。
震えた手。
ずっと一人で…
辛かったんだね。
傷付いた過去は…
いつからか光輝の心を暗闇へと迷い込ませていたんだ。