傷跡



『ハイ…』


『あ、杏奈?』




久しぶりに聞いた光輝の声。


変わらないそんな光輝の声は、なぜかあたしをほっとさせてくれた。





『うん…』


『あのさ……今陽翔から電話あったんだけど』


『えっ!?』




光輝のその言葉に驚いていたあたしの目の前には、トイレに立っていた陽翔がちょうど席へと戻ってきていた。



どういうこと?



あたしは少し戸惑いながらも光輝の言葉をそのまま聞いていた。





『つーかさ、今から出てこれる?俺、今そっち向かってるから』


『えっ?向かっ……何で?』


『とりあえずビルの前で待ってるから。じゃあな』




プーップーップーッ



光輝はそう言うと、一方的に電話を切ってしまった。





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