傷跡


『はい』


『もしもし杏奈ちゃん?俺オレ、アースですけど』


『あ、アースさん?どうしたんですか!?』


『今からちょっと時間ある?話したいことあって』






あたしは言われるがままに指定された歌舞伎町のある場所に向かいアースさんを待っていると、アースさんは颯爽とあたしの前に現れた。





『急にごめんね、とりあえず行こうか』




そしてそう言うと、
アースさんはあたしの歩幅にあわせてゆっくりと歩きだした。




歌舞伎町に来たのは二度目で。


しかもこんな風に夜の街をゆっくり歩いたのは初めてだった。



すれ違う人達はアースさんに挨拶をしたり、ジロジロ見ていたり、なんか改めて凄いオーラみたいなものを感じた。




『ここここ!』



でも、そんなアースさんが入ったのは、ある焼肉屋だった。





『腹減ってない?俺めちゃくちゃ減ってんだよね』


『あぁ…はい』





そしてテーブル席に座ったアースさんとあたしは飲み物を頼み、とりあえず食事を始めた。




その間アースさんは、あたしにバイトは楽しい?とか、どこに住んでるのかとか。

わりと普通の話をしてきてた。




一体今日は何のために呼ばれたんだろう?


やっと食べ終わった頃、そう思っていたあたしに、アースさんは突然聞いたんだ。





『杏奈ちゃんは光輝のこと信じられない?』




光輝から…何か聞いたのかな?





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