傷跡

癒えた傷跡




『ここに車停めておこう』



10分ほど走ったら、光輝がゆっくりと路肩に車を止めた。



そして車をおりると、林道の横にある長い階段を指差して、あたしに靴をはきかえるように言った。




『ここ登んなきゃいけねーからさ。そんなヒールじゃ無理だぜ』



光輝にそう言ってトランクから出された健康サンダルにはきかえると、あたし達は長い長い階段を一歩一歩登っていった。




『超綺麗なとこだね』


『おー、眺めがいいよな』




登りきったその場所には、綺麗な緑に囲まれた墓場があって。


すごく空気の澄んだいい場所だった。



それから二人で水かけの用意をして。

持ってきていたお線香とお花を手にしたあたし達は、光輝のお父さんが眠るお墓の前まで歩いていく。



そして……


一際立派なお墓の前で立ち止まると、そこには菅原家之墓と書かれてあるお墓があった。




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