傷跡

きっと…
このままサヨナラするほうがラクだ…。



荷造りしながら、あたしは何度もそう思ってた。



自分に暗示をかけるみたいに…

これでいい、
この方があたしのためにも光輝のためにもいいに決まってるって。






でも…


荷物をまとめればまとめていくほど。


片付ければ片付けていくほど。



どんどん出てくる懐かしい物たち。




付き合い始めた頃、デートするたびに撮っていたプリクラ。



そこに写るあたし達は…

とても幸せそうに笑っていた。



あの頃と、何が変わってしまったんだろう。




思い出のひとつひとつに、たくさんの笑顔や楽しかった日々があった。



でもそんな思い出も…
断ち切らなきゃならない。


そうしないと…
自分が壊れてつぶれてしまうような気がするから。




ねぇ光輝?



大好きだったけどね。



我慢して我慢して。



裏切られても耐えられるぐらい…


あたしは強くなんかないんだよ。



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