光で思い出を残す機械

夕方。営業終了時間。
記念撮影。


場所は勿論、お店の前。
入り口前の階段。


「じゃあ、私
かなちんの隣~」

「あ、良い席を
さおに取られた……」

「ふははは、先手必勝!
なっちゃんは反対側ね」


「オレはいい……」

「黙れ、座れ、感謝しろ」

「なんて三拍子だ
アレンもこっち来てくれ」

「Oh? 邪魔じゃないか?」

「そんな事ない
みんな一緒。
じゃないと意味がない」


私の隣に夏海。
更に隣はアレンが座る。

由紀は
私の後ろの段差に座り
抱き締めてくれてる。


「あぁ~、ちょっと
それはズルい」

「先手必勝なんでしょ?
さ・お・ちん」



「もちろん健介さんは
私の隣ですよね?」


「え、あぁ、そうですね。
恐縮です」

後ろはお父さん達。


「よし、
位置は決まったかな。
じゃあ、セットするから
動かないでよ」


お父さんは小走りで
小さな立て看板の上に
カメラを置いて
タイマーを掛ける。


「店長。
転ぶなんてベタは
止してくださいよ?」


「それは確かに嫌だね」


それは
光で時を切り出す機会


「東京でも頑張ってね
親友!」

「ん」


匂いや音は残せないけれど


「叶」

「ん?」

「もう少し大人になったら
会いに行く。
だから待ってろ」

「ん?」

「ん? じゃねぇよ!」


映像と思い出は残るから


「まだまだ
夏海は青いなぁ」

「Funny boy
それが若いうちに
許される特権!」


寂しさに
押しつぶされる事はない


「大人になっても
良いことあまりないよぉ
夏海君」


「先輩発言だ!
さおちんもこれぐらい
落ち着いてたらねぇ」

「うっさい」

「由紀ちゃん、それは
女子高生たる余裕?」

「ち、違いますよ
そういうのでは
決して――」


「撮るよー!」

「ん」



思い出が慰めてくれるから



「ぐあっ」

「運動不足と
笑いのセンス不足」

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