ワーホリ!メタルドラマーが国際結婚?
「ハービーベイまで何時間乗るの?」


「夕方には着くんじゃない。」


正確な時間が知りたかったが、まだすこし
怒っていたのでそれ以上は聞かなかった。

俺達が乗るバス停に人が集まって
きたので急いで店を出た。

するとバスがやってきた。


「今回はビターちゃんみたいなのは
かんべんしてくれよ!」


そう祈りつつバスへ乗り込んだ。

ハービーベイまでは
結局6時間くらい掛かった。

ビターちゃん風な人物は
今回このバスには居なかったのでスムーズ
にハービーベイまで行くことができた。

「10VIDEOs $10」
というレンタルビデオ屋の旗が見え、
そのすぐ近くのバス停で泊まった。

降りるとかなり寒くなってきた。
オーストラリアはこれから春
とはいえ俺達は南下している。

寒くなるのは当たり前だ。

オーストラリアは日本から赤道を越えた
南半球なので季節は日本とは逆で北は1年中
暖かく、南下すればするほど寒くなる。

去年のクリスマスにケアンズで
サンタクロースがサーフボードを
持っているポスターが印象的だった。

外は風があるせいか、ひどく肌寒い。

俺とサマーはバスから降りるなり、
バックパックをあさり
ジャンパーを羽織った。

東京で育っている俺にはこれくらいの
寒さは大したことないはずだが、ケアンズ
になれた身体になった今では寒く感じる。

バス停からビーチが見えた。

人が2,3人くらいしか居らずペリカンや
かもめが海に浮かんでいたりした。

俺達が近くまで行くと、
彼らは人を恐れず餌を求めて近づいてきた。

俺は鳥の翼が大の苦手なのだが
彼らたちはなんとも愛くるしかった。

また夕日と雲のケミストリーが
なんとも綺麗で日本では絶対に
お目にかかることはできない風景だった。

あまりの美しい景色に「写るんです」で
写真を撮りまくってしまった。

時間を忘れてペリカンやかもめと
戯れていると、辺りが暗くなってきた。


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