ワーホリ!メタルドラマーが国際結婚?
俺は面倒な部屋に当たってしまったことに少々腹を立て、
ふて腐れながら”そのブツ”を片付けることにした。


”そのブツ”をジャグジーから引き上げると、中には砂が入っていて沈めたらしい。

どのようにして入れたかは定かではないが、ずいぶんイカすことをする奴もいるもんだ。

でもまさか客を追いかけて行って「忘れ物です」とは言えるはずもなく・・・

しかたなくホテルのオーナーを呼び、引き取ってもらった。

処分に困ったオーナーの顔がおかしかった。

そしてそのオーナーの顔が俺たちにやる気と勇気を与えてくれた。

またある時は、ホテルの駐車場を掃除していると、事を済ましてきたカップルが部屋から出てくる。

中には70代位のおとっつぁんとおっかさんが恥じらいもなく頭から湯気を出して帰っていく。


「バイアグラって凄いんだなー・・・」


勝手に決め付けたりもした。

最悪だったのは知り合いに出くわす時だ。


「あれ?あの女、確か・・・学校では目立たず暗いヤツだったよな・・・」


「あ!雪ウサギだ!」美白とは程遠い青白い顔をして図書館にいるタイプ。

しかし今では、すっかりカシスショコラ色・・・いやっ、小麦色に焼けていてサーファーの様にも見えた。


「あの女がねー・・・大変身だな・・・」


ことを済ませた後とはいえ、やたら顔のツヤがイイ!

ピカピカしちゃってK1ファイターみたいだ。


「やばいっ、中学の同級生にこんな姿見られたくねー」


その時の俺のいでたちは、手には緑のゴム手袋、
頭にはおにぎり屋のオバサンがかぶりそうな花柄のバンダナ、
上半身にはなぜかパックマンのエプロン。

この異常なコスチュームだけは誰にも見られたくない。


「あ゛~パックマンようにワープしてー・・・」


雪ウサギにバレないように、車の陰に隠れていると、その車が雪ウサギの男のだった。

仕方なくその男の車の下の隠れた。俺は歯を食いしばり、その車が去るのを待った。


「ガッデム!俺はジャック・バウアーか!」


轢かれないようにうつ伏せになり、なるべく体を低くしていた。


「ブゥーン」


「あー助かった・・・」
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