恋の相手はメイド君!?
千尋は、あたしを利用してる?
客として。
見た目が良くて、優しくて。
そんな千尋なら、あたし以外にも沢山いるよ。
あたしみたいに、千尋に側にいてほしくてお金を払う女が……。
絶望に、狂いそうだ。
あたしは、最初から騙されていたんだ。
あの甘い笑顔に騙された。
『欄』
と、脳の奥に熱く響く低い声。
あたしの身体をすっぽり包んでしまう、逞しくて大きな身体。
それに加えて、あの甘い笑顔。
やられたよ……。
あはは。
上手く騙されたもんだ。
全然気づくこともなく、どんどん千尋に惚れたあたし。
千尋の『好きや』て言葉に、心がむずかゆくなって。
真っ直ぐな眼差しに、ドキドキして。
熱い舌のうねりに、恥ずかしくらいに感じて。
千尋のとりこになった。
その日から、まだ数日しか時は経っていないのに。
あんなに幸せだったのに。
千尋は、あたしが傷付いたの知ってたのに。
どうして……。
どうして、あたしなの。