恋の相手はメイド君!?
「なぁにが、よし! や」


ポカンと頭をはつかれた。


「なにすんねんっ!」


「これで、掃除したつもりなんか」


「し、したもん」



何がいけないの。


千尋のやった通りに、真似てやったから完璧なはずだ。


胸をはるあたしを、千尋は溜め息をついて見つめてくる。


チラリとテレビ台に目をやったかと思うと


「これはなんや?」


台に指を滑らせて、千尋が人差し指を見せてきた。



指の腹は、ちょっと黒くなってる。



あはは、と苦笑いするて、また溜め息をついた。




「部屋はな、中心だけ掃除してもしゃーないねん。

埃や汚れは、隅に隅に溜まるもんやから、丸く掃除したかて意味ないわ」


「……すみません」



謝るしかないです。


言い返したいけど、千尋の言われた通り

あたしは癖で、掃除する時丸く掃除してしまう。


隅っこなんて、見えない場所ならいいかって

単純に考えていたわけだ。


それを、簡単に見抜かれてしまっては、頭が上がらない。


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