素直に
第22章
     22
「お昼にしない?」


「君、お腹空いたの?」


「うん。朝、コーヒー一杯とトースト一枚で済ませてたから」


「じゃあ、学食行こうよ」


「ええ。……バランスよく定食なんかを食べてもいいし」


「そうだね。どうせワンコインでお釣りが来るぐらいだろうから」


 僕がそう言って笑う。


 ワンコインというのは言わずもがなで、五百円玉一個という意味だ。


 僕自身、普段はしっかりと節約していたし、使うお金もかなり削っていた。


 実際、研究の道に入ると、生活はきつくなる。


 僕も今自宅で持っているパソコンは、あと五年ぐらい使おうと思っていた。


 OSが変わるのは仕方ないし、家電業界も日進月歩だから、いくらでも新しいものは出てくる。
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