素直に
第34章
     34
 学食で食事を取り終え、栄養を補給してから、僕たちは研究室へと舞い戻る。


 その日も研究室が閉まる午後六時半まで詰め続けた。


 僕たちは慌しい年末も比較的スローペースで送ることが出来ている。


 クリスマスはケーキを食べながら二人きりでパーティーするつもりでいたし、あまり慌てないようにしていた。


 確かに世間は年明けまで猛スピードだ。


 だけど、僕たちがしている研究はこれから四年生の一年間と、おそらく入れるであろう院の修士の二年間、それに博士の三年間まで続く。


 つまり単純に足し算したとしても、あと六年間は大学にいるわけだ。


 しかも何かと水や空気が美味しい田舎町にある秋光大で。


 僕たちは恵まれた研究環境にいた。


 インフラも十分揃っている。


 無事大学に残ることが出来れば、いずれは助手ぐらいからスタートして、上原先生のお手伝いをすることが可能だと思う。
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