素直に
第10章
     10
「慧子」


「ん?」


「学食で何食べるの?」


「あたし?あたしはそうだな……じゃあラーメン」


「だったら、俺もラーメンにしよう」


「少し冷えてるから、温かいものの方がいいわよ」


「そうだね」


 僕が頷き、慧子と並んで学内を歩いていく。


 キャンパスはかなり広い。


 さすがに地方都市の私立大学とあってか、一つの敷地に全ての学部と学科がある。


 同じ私大でも首都圏にある早稲田や慶應などのように、複数のキャンパスに学部や学科があるわけじゃない。


 それに僕たちは学校に遊びに来ているという認識がまるでなかった。
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