素直に
第14章
     14
「また来なさい」


「……わ、分かりました」


 僕は文学部准教授を勤める佳久子と一通り行為をしたことで、性的には満たされた。


 だけど普段から慧子としかしてないので、何か彼女を裏切ったような気がする。


 僕は元通りの格好をして何気に部屋を出た。


 ドイツ語の文献がたくさん置いてある准教授室が、その手の行為の現場となったのだ。


 こんなことをすると、普通は学生側ではなくて、教員側が罰則(ばっそく)を受ける。


 だが佳久子は常に研究活動を続けながら、相当我慢していたらしい。


 あの強引さは尋常じゃなかったからだ。


 ワンシーンワンシーン思い出すたびにその思いが強くなる。


 女性はいつでも若い男のエキスが欲しいらしい。


 それは男性側である僕も同じである。

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