素直に
第18章
     18
 学食に入り、券売機の前に立って、うどんがメインのセットものの食券を一枚買う。


 カウンター越しに食券を差し出し、すぐ近くのドリンクコーナーで、缶入りの緑茶を一本買った。


 午後からは、学生間で悪名高い綾邊のドイツ語原典講読がある。


 まあ、どうせアルバイター教員なのだから、学生評価が悪くて、まともな授業をせずとも着続けるのだろうし……。


 僕は講義が始まったらすぐに出席カードを出して、講堂を出、上原研究室に向かうつもりでいた。


 学生なので、しっかり勉強する。


 大学生なので、いくらでも学ぶことはあるのだ。


 それに授業料も私立大学だから国立大学よりも高くて、奨学金とバイトでギリギリ凌げるぐらいだったし……。


 僕は慧子と会えないときは、午後七時ぐらいから九時過ぎぐらいまで、恩師の上原先生同様、家庭教師をしていた。


 マンションから自転車で二十分ぐらいのところに教え子がいる。
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