天使と野獣

直道はまだ話を続けている。



「吉岡が転落して死んだところと言うのに、
今度は同じクラスの二人が不振な死に方をしたのですから、

朝から先生たちもあの調子です。
その内にマスコミも駆けつけるでしょうからその対応を… 

その内に生徒の事を思い出して、
多分また自習になるでしょうけど。」



直道はそう言いながら、
職員室を出たり入ったりしている教師達を目で追っている。


そして京介は… 
途中から自分の考えに入っていた。 

あいつら… まさか口封じでは。

あの時あいつらが奴らから買ったものは、
いつものではなく致死量になっていたものかも知れん。


高校生活の置き土産は、

自分の傍に落ちてきた
吉岡豊の無念晴らし、と決めている京介。


まさに刑事か探偵になっている京介の勘は、

格別に鋭くなっている。


それにしても何故殺す必要があったのだ。

あの二人が吉岡を突き落としたのなら… 

俺でもすぐに奴らが怪しいと思ったから、
警察もそのうちには突き当たる。

それで口封じか。


吉岡を突き落とした原因はあのチーズだ。

やはりアレは、あの二人の内のどちらかが落としたものだ。

トラブルを嫌う密売人たちが、
販売ルートを話されては困るから、

いつもよりヘロイン量の多いモノを昨日あの二人に渡した。


何も知らない二人は、
勉強中か一休みした時に飲み、

急性中毒のようになり死んだ。
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