疵痕(きずあと)


「せえんせいー。どこでも良いから降り口探して、さっさと出よう」


 一生懸命励ます俺たち。


「でも、でも……私、左折は苦手なのようー。こっ、このスピードで曲がるの危険だし、途中ガス欠の危険もあるし」


 よほど燃費のかかる中古なのだそうだ。


 いい彼氏を持ってると思う。


 顔を見かけたら即殴りたい。


 実際、見たことないのでそれは不可能と思われる。


 俺は自分の中にくすぶるなにかを感じた。



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