Love Slave
「あ……れ?」


倒れそうなのに倒れていない。それに奇妙な浮遊感。

ひょっとして、宙に浮いてる?


朦朧とする意識の中で、私は温かい感触を感じた。


「……生きてるか」


そのホスト声に目を見開いた。超至近距離に会長がある。整った顔が私の顔に近く、熱い息が頬に掛かった。


「会長よ!!」


「きゃー、会長!!」


「大和様!!」


「何よ、あの女!? 今すぐ離れなさいよ」


女子生徒たちが、一気に悲鳴を上げる。会長に近付くなとか馴れ馴れしいとか言ってるのが耳に入った。
会長が現れた途端に体育館がライブ会場みたいになったのが分かる。


私の身体は会長と密着している。何が起きたのかが把握できない。私は腰を抜かしていて、まともに立てなくなっていた。


でも、会長が腰に腕を回して支えてくれている。そのおかげで私は倒れずに済んだ。


この状況に納得ができないのか、さらにやかましくなる。騒ぎ立てる女子生徒に教師は注意を呼び掛けるが、歯が立たない。聞く耳も立てない。


「えー、静粛に」


会長がマイクに向かって一言。それだけでしーんと静まった。


それだけ影響力がある人なんだなって思った。


「彼女は代理人なんだ。私が無理してお願いしたんだ。彼女が徹夜までして考えたスピーチを最後まで聞いてやってください」


深々と頭を下げた。その姿に少しざわついた。


私も、会長がこんなことしてくれるなんて思わなかった。


頭を上げた時、会長は私のほうを向く。一瞬、ビクッとしたが、優しい笑顔を見せてくれた。


そして、耳元に顔を近付き、囁く。


「お前なら出来るさ」


そう言って、背中をポンッと押してくれた。



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