ボクがキミをスキな理由【短編集】
遠く見えた彼の背中。
実際走ればほんの数歩にすぎない距離。
だけど、あのときの私には長くて、永遠にも似た距離だった。
無我夢中で走って、
彼の大きな背中にギュッと抱きつく。
「わっ!!
ほっ、星野さんっ!!??」
彼は突然の私の行動にすっとんきょうな声をあげる。いつものわたしなら、こんな大胆なコト絶対できない。
だけど、このまま何もせずに彼を失うくらいなら、どうせコレで終わりなら、彼の温もりを覚えておきたかった。
恋するオンナノコは強い。
こんな私でもこんなに大胆なコトができてしまう。