ボクがキミをスキな理由【短編集】


「俺…行くわ。」



ケツについたホコリをパンパンと
払うと、俺はゆっくり立ち上がる。




何怖がってたんだ、俺。


経験値ゼロの俺
劣等感MAXの俺


どこか自分に自信がなくて
レイさんの気持ちに
向き合う勇気がなかった俺



イケナイ彼女の消せない過去に
動揺して、イラついて
自分には受け止める度量がないと
悩んでいたけど……



そんなの当たり前じゃないか。




俺は恋愛ビギナーで
経験値のない、男



オトナでスマートな恋愛なんて
きっと出来ない。



レイさんをお父さんのように
あったかく
真綿でくるむように
大切にいとおしむなんて愛し方は
きっとできない。





――できるわけ…ねぇじゃん。





だって俺は俺でしかない。
急にレベルアップするなんて
絶対出来ねぇもん。
そうだろ??




きっと俺は不器用にしかレイさんを
愛せない。


精一杯
背伸びしながら
いっぱいいっぱいになりながら
手探りにしか、きっと彼女を愛せない。




それなら…
俺は俺なりにぶつかってみるしかない



バカにされても
飽きられても
しょうがねぇ



俺はカノジョがスキなんだ



嫌われたらどうしようと思うくらい
不安で、怖くて、臆病になるくらい



俺はカノジョに溺れてるんだ……



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