ボクがキミをスキな理由【短編集】
なんや……??
この人メッチャきれいやし、
メッチャ歌、うまいやん……
呆気にとられながら
ううん、違うな
アンナの歌う、
歌声に導かれるように
アイツの歌に聞き入っていると
星空の下で俺とアンナの視線が
ふと絡み合う。
「なんだ、観客がいたんだ。」
そう言って
アンナはフフっと
俺に笑いかける。
「あ、ゴメン。
あんまりキレイな歌声やったから、聞き惚れてしもて……」
素直に自分の気持ちを口に出すと
「いいね、その言葉。」
満足そうにアンナは笑う。
「へっ……??」
アイツの言葉の意味がよくわからんくて、ボサッとしたまま聞き返すと
「意味わかんない?少年。
その言葉、歌手にとっては最高の誉め言葉……ってこと♪」
そう言って
髪を夜風にたなびかせながら、アンナはアハハと朗らかに笑う。