ボクがキミをスキな理由【短編集】
ステージの上で
沢山の光を浴びながら
歌う、アンナ
全てのプログラムが終了したとき
「今日はお越しくださり本当にありがとうございました。この後も素敵な夜をお過ごしください。」
そう言って
アンナはステージから去っていった。
その後
待っていればアンナはきてくれるかも……っていう淡い期待は報われることがなく。
「少年、もう遅いから帰ったほうがいいよ。」
初老のマスターにそう言われて
俺はスゴスゴとエスプレッシーヴォを後にすることになった。
強い海風に
遠くに聞こえる低い海鳴り
そして耳の奥に残る
アンナの歌声
今思えば……
あの瞬間から恋は始まってたんやろうな。
憧れにも似た
淡い淡い恋心
その日から
俺はもう一度アンナに会いたいという気持ちだけを胸に、アイツに初めてあったボードウォークを毎日ウロチョロすることになってしまう。
キモチ悪いんは100も承知やけどさ?
それくらいしか思いつかんかってん。
明らかに年上のイイオンナなアンナにどう見てもクソガキの俺
何とか接点を持つためには
偶然という名の奇跡を待つしかないやん??