ボクがキミをスキな理由【短編集】


「この行動に意味があるのか……なんて、やってみなきゃわからない。何故かわかるかい?」


俺がフルフルと首をふると



「後悔も満足感も行動を起こさなければ感じられないからさ。」



そう言って俺の頭をポンポンと叩くと、マスターは俺の隣にゆっくりと座る。




「行動したものだけが、その行動の意味を理解する。玲央くん、君が答えを知りたいならば行動しなきゃわからない。」





“行動しなきゃわからない”





俺はあたまの中でその言葉を何度も反芻する。




そんな俺を見てマスターは何かを感じ取ったんやろう。






よいしょ、と言って立ち上がると





「玲央くん、いいことを教えてあげよう。」

「え……??」

「失敗を恐れていては人は前に進めない。行動しなきゃ後悔も失敗も栄光も味わえない。
失敗を恐れる人の前に、奇跡は決して起こらないんだよ?」




そう語りながらマスターはのそのそと歩き、深い鈍色をしたドアノブに手をかける。





「玲央くん、君はまだ若い。
恋に怯えて失敗を恐れるつまらない大人になるのも、まだ早い。
叶わない恋を嘆く暇があるなら、恋を叶える努力をした方がずっといいと思わないかい??」





< 414 / 461 >

この作品をシェア

pagetop