汝、風を斬れ
第十二章 解放






 悲鳴のような音を上げながら、ヴェルズを覆っていた物は消えた。
 ふう、とセントは息を吐いた。

「立てよ、父さん」
 声は明るい。セントは刀を仕舞い、ヴェルズに手を伸ばす。
 ジンとキュアもやってきた。

「父さん」
 ヴェルズは、ふっと息を漏らすように笑った。
「お前に負ける日が来るとはな」
 そう言ってセントの手をしっかりと握る。セントはそれをぐっと引いて、ヴェルズは立ち上がった。

「でかくなったな」
 並ぶと、セントの方が僅かに背が高い。 
 そして、続ける。
「強くなったな……セント」
「父さんにそう言って貰えるのが、一番嬉しいよ」
 キュアが今まで見たことのない、一番の笑顔でセントは答えた。
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