汝、風を斬れ
第六章  行動

「キュア、起きて」
 東の空は明るいが、まだ太陽は完全に出ていない。
 セントはキュアを起こした。
「宿の人に断ってあるから」と染め粉の入った布袋を渡す。
「お湯、もらってきな。久しぶりだろ?」
 キュアの顔がにわかに明るくなる。

 時間とお湯をたっぷり使って体を綺麗にし、髪を洗い、丁寧に乾かして、念入りに染める。
 部屋に戻ると、宿の女主人がいた。
「すっげぇこれうめぇ。何、鶏のダシで煮んの?」
「よかったら調理法を教えていただけませんか?」
 女主人は二人の相手をにこにこして、している。三人の話のネタになっているのは、ソルド豆の煮物だった。

< 63 / 165 >

この作品をシェア

pagetop