君を抱きしめるから~光、たずさえて~




 起死回生のなっちゃんの台詞……。


 そのとき、ゴジラはなんて言ったろう?


 ありがとう?


 うれしい? やったー? 


 それとも、ボクが考えるような感情は想像力不足なのかもしれない。


 あのとき、驚異だったゴジラが、あんな、小さな手をした自称、小三の子供だったなんて。


 あ!


 うれしそうにしっぽでそこいら中を均(なら)しながら、れいの穴蔵に入ってゆく。


「うほうほ言いながら」っていうのは、あながち嘘じゃないのかも知れない。


 犬みたいだ。大事にだいじに、隠れ家に隠す。



「もう、ばれてるよ、のりお」



 ボクはそういってやりたくてたまらなくなった。こいつ……ボクと同じだ。


 おもちゃがほしくて、でも手に入るのは親のみだらがましい願いのこもった伝記だったり、辞書だったり。


 でも、嫌いじゃない。こういう奴。


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