~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>
牢の主は巨大で反抗的だったが、王子が話を持ちかけると、煙を吐いて、
「かえれ」
と、言った。
いわく、自分は牢の主だから、ここから離れたら主ではいられなくなる。表の世界でやってゆくには自分は不相応だ、と言うのである。
「いや」
と、王子は辛抱強く説得にあたった。
「ここのもの達はすでに牢を出た。しかし元が不幸なものばかりで救いがない。助けてやって欲しい」
そして王子は『自称天才、殺人希望者』を彼に預けるかたちで厄介払いした。