~天は赦さる~<~天へ送る風~完結編>
彼は岩から飛び降りて火の中へと身を投じた。
「た、す、け……」
「助けにきたじょ。一緒に行くじょ!」
赤子は黒こげの腕を取り肩に担ぎ上げ、彼を引きずるように連れて行こうとした。
そう言う彼の身体は肉までただれて、ずる剥け。
他の部分はどんな力で動いているものやら、炭と化していた。
「ああ、でも皆もう行ってしまった」
嘆きの男は、もう自分では歩めないほど、絶望にくらんでいた。
「それでも行くじょ! あんたひとりをおいては行かないじょ」
彼のトパーズ色の瞳が強く輝いていた。