Little Princess



――彼と出会って、

17年目の春。



きっと彼は、家にも帰らず、この野原に私が1人できているなんて、これっぽっちも思っていないだろう。



…いや。いつもは鈍感なくせに私のことだけには妙に敏感な彼は、もしかしたら私の異変に気づいてるかもしれない。



…彼が探しにくる前に、この野原からは出なくちゃいけないな。



『…いい天気だな。』



ふと見上げた朝の空は、澄み切ったように透明な色をしていた。



限りなく、透明。



< 5 / 41 >

この作品をシェア

pagetop